新型インフルエンザ(鳥インフルエンザH5N1や豚インフルエンザH1N1などの人間感染型)に関する知識とそれへの対策についてまとめてみました。新しい情報は随時追加します。



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現在の新型ウイルスが変異によって毒性を獲得した場合、

現在の新型ウイルスで作製したワクチンが有効なのかとの質問いただきましたが、

それは運次第としか答えようがありません。(^_^;)



インフルエンザウイルスの毒性が何によって決まるかと言うと、

代表的な部分で推測されているのはH1N1のHにあたるHA、

ヘマグルチニンのタンパク分解酵素活性の強さや性質などです。

これはウイルスの一番外側のとげとげの部分です。


スペイン風邪の場合はここが変化して強毒性を獲得したと考えられています。



ウイルスに対する抗体、つまりワクチンでできるIgGも、

主にこのヘマグルチニンの構造に対して作られるものが主であると考えられています。

それはこの構造が抗原性が高い(抗体ができやすい)からです。


ということは、

現在の弱毒型のインフルエンザウイルスを用いて作製したワクチンによって、

人間の体が抗体を作りやすいようなウイルスのHAの構造が、

(それを狙ってその部分を提供するわけですが)

毒性を獲得したワクチンにおいて運悪く変化してしまった場合には

ワクチンの有効性はまったく期待できないことになります。


しかし、弱毒型ウイルスで作成したワクチンで認識できる部位が

強毒型に変化したことでは影響を受けなかった構造であった場合には

十分有効なワクチンであり続けるわけです。



ま、ややこしいのであっさり言うと

強毒型に変異しても効くものができるかもしれないし、無効かもしれない。

それはウイルスが変異してみないとわかりようがないので、運次第で決まります。



また、インフルエンザウイルスの毒性に関してはHAの構造以外にも

ノイラミニダーゼの活性や、RNAポリメラーゼの活性によっても

影響を受ける報告がなされており、強毒性の変化がそれらの変異で決まれば、

HAに対して抗体が作製されることの多いワクチンは有効と言うことになります。

これは運良く、と言うパターンですね。






以前の記事で書きましたが、HAの構造のうち、

たくさんのインフルエンザウイルスに共通の構造に対する抗体、

これができれば万能ワクチンが理論上完成します。


これはなかなかできにくいから毎年大勢がインフルエンザに感染するのですが、

この抗体を作っている人は確実にいるわけで、

将来的にはこの部分に対して抗体ができるようなワクチンを開発していくことで

万能型のワクチンが開発できるだろうと考えられています。



参考文献

Proteolytic activation of the 1918 influenza virus hemagglutinin.

Chaipan C, Kobasa D, Bertram S, Glowacka I, Steffen I, Tsegaye TS, Takeda M, Bugge TH, Kim S, Park Y, Marzi A, Pöhlmann S.

Nikolaus Fiebiger Center for Molecular Medicine, University Hospital Erlangen, 91054 Erlangen, Germany.

J Virol. 2009 Apr;83(7):3200-11. Epub 2009 Jan 21.

Proteolytic activation of the hemagglutinin (HA) protein is indispensable for influenza virus infectivity, and the tissue expression of the responsible cellular proteases impacts viral tropism and pathogenicity. The HA protein critically contributes to the exceptionally high pathogenicity of the 1918 influenza virus, but the mechanisms underlying cleavage activation of the 1918 HA have not been characterized.

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関連タグ : 弱毒型ウイルス, 変異, 強毒型ウイルス, ワクチン, 有効性,

新型インフルエンザの最初の報告以来、

このブログでもいろいろ書かせていただきました。


独断や偏見もたくさんのこのブログに

暖かいご意見も頂き、訪問数もすごい数で
(4月最後の6日間で2月と3月の訪問者数の6倍に達した(^_^;))

書いていてよかったかなと充実感で、ありがとうございました。


連休ももうみなさん、終了に向けて移動したり、

連休明けの仕事の準備したり、日常モードに戻りつつあるのでしょう。


新型インフルエンザもそのモードに、と言うわけにはいきませんが、

弱毒性らしいということで世界中が、少しだけ落ち着きました。


SARSに懲りたアジアの某大国が「羹に懲りてなますを吹く」ことをしていたりしますが、

おおむね、とりあえずは安心している状態ですね。


ロイター通信にそれがまとめてあります。



新型インフル、いったん収束後にパンデミックの恐れも

5月5日13時14分配信 ロイター

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090505-00000428-reu-int

 [ワシントン 4日 ロイター] 世界中で感染者が1000人を超えた新型インフルエンザ(H1N1型)は、メキシコ当局が流行の最悪期を脱した可能性を示唆し、米国などでの感染例からは、その症状が季節性インフルエンザと大差ないとの見方が広がりつつある。
 こうした情報が伝わるにつれ、一部では衛生当局が新型インフルエンザの発生に「過剰反応」したのではないかとの指摘も出始めた。しかし専門家の間には、新型インフルエンザの脅威は数カ月続き、後になって世界的大流行(パンデミック)になる恐れもあるとの声が出ている。
 米国では約2週間前にテキサス州とカリフォルニア州で子ども2人の新型インフルエンザ感染を初めて確認。その後、世界保健機関(WHO)は警戒水準「フェーズ5」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)のリスクが目前に差し迫っていることを示した。
 メキシコは学校の閉鎖や公共イベントの中止に踏み切り、同国の観光産業には大きな影響が出た。米国政府は備蓄していた抗ウイルス薬の25%を放出し、新型インフルエンザに対応するワクチン開発にも着手している。
 一方、メキシコのコルドバ保健相は1日、新型インフルエンザ感染が原因と疑われる死者の数について、それまでの最大176人から同101人に修正すると発表。米国でも2次感染が急速に広がっているが、季節性インフルエンザより症状は重くないとみられている。
 インフルエンザを研究する専門家らは、世界各国・機関のこれまでの連携対応は適切だったと評価する。
 テキサス大学ヒューストン保健科学センターのスコット・リリブリッジ博士は、電話インタビューで「まず第一に、(ウイルスが)毒性の強いものにならなければ多くの人が安心する」と述べた上で、ウイルスはいつでも突然変異する可能性があり、今回の新型インフルエンザの毒性や感染力を判断するのは時期尚早だとの見方を示した。
 米疾病対策センター(CDC)の生物テロ対策部門の設立にも尽力したリリブリッジ博士は「われわれは大がかりな国際的対応を始めたばかりであり、(ウイルスの)流行は数カ月間続く可能性もある」としている。
 米国政府はこうしたシナリオに対する準備を長い間積み重ねてきた。「最悪のシナリオ」として想定されることの多い1918年のスペイン風邪のケースでは、春に新型ウイルスの感染が始まって夏にいったん収まったものの、8月に入って第2波の流行が起きて世界で約4000万人が死亡した。


しかし危険性は依然としてなくなったわけではなくて、

今後も新型インフルエンザH1N1に対する警戒態勢を怠るわけにはいきません。


我々のような基礎医学研究者はもちろん、

疫学研究者も、臨床の第一線で治療に当たる医者も、

それぞれがそれぞれの分野のものの見方を持ちあって

議論の中で今後の最善策を探していくことが重要でしょう。


 <歴史は繰り返す>
 インフルエンザのパンデミックを専門とするリスク問題コンサルタント、ピーター・サンドマン氏は「CDCと国土安全保障省、厚生省が(流行の)小康状態を準備期間にあてることに疑いの余地はない。彼らはこの問題への注視を怠らず、秋のパンデミックの可能性に備えるだろう」と述べた。
 一方、公衆衛生の専門家らは、1976年に米国で発生した豚インフルエンザ感染のケースも忘れてはいない。この時は製薬会社が先を争うようにワクチンを生産し、約4000万人が予防接種を受けたが、結局インフルエンザの大流行は起きなかった。さらに悪いことに、この時にはワクチンの副作用でギラン・バレー症候群を発症する人もいた。
 米医学研究所(IOM)のハーベイ・ファインバーグ博士は「当時との大きな違いの1つは、1976年に豚インフルエンザが見つかったのはニュージャージー州フォートディクスの米軍施設1カ所だったこと。その後もニュージャージー州や米国、世界のどこでも(豚インフルエンザ感染は)確認されなかった」と語る。しかし、航空輸送網の発達した現在では、ウイルスは数週間で世界中に広がってしまう。
 リスク問題の専門家サンドマン氏は「先週の教訓はわれわれは幸運だということ。今後も幸運であり続けると考える理由は何もない」と警告している。


確かに、ふつうのインフルエンザでほとんど回復することを考えれば、

予防注射でギランバレーになっちゃうのは痛手が大きいのですが、


今回の豚インフルエンザに関しては、新型であることは間違いなく、

ワクチンができたらぜひ受けておきたいものです。

期待しております。




と、いうことで、しばらくは

更新頻度が落ちるかも知れませんが

自分で必要性を感じたら更新します。


お気に入りに入れておいていただいて、

ときどき覗きに来てくだされば嬉しいです。


ではでは。


関連タグ : インフルエンザ, 第一陣, 世界的流行, ワクチン, 副作用, ギランバレー症候群,



人間には免疫力がありますし、もちろん哺乳類にはみんな似たような免疫システムが、それ以外の動物にも免疫システムがあります。

だから一度かかった病気には非常にかかりにくくなりますし、その力を利用して病気に罹りにくくするのがワクチンの予防接種です。

新型インフルエンザウイルスに感染しても生き延びたら、同じ型の新型インフルエンザウイルスに感染する確率は著しく低くなるでしょう。

その意味では同じ新型ウイルスには1年ぐらいはまず感染しませんが、もう二度と感染しないかと言われると、それは違います。

ふつうのインフルエンザでもそうですよね、毎年予防注射していてもインフルエンザにかかる人がいることからお分かりかと思います。


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関連タグ : 免疫, 再感染, ウイルスの変異, インフルエンザ, ワクチン,

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