人の抗体遺伝子解析からインフルエンザ万能ワクチンを樹立

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インフルエンザワクチン開発に関するワクワクするニュースです。

アメリカの科学雑誌サイエンス(Science)の2009年4月10日の分に掲載された論文ですが、インフルエンザ万能ワクチンを樹立できそうであるという報告です。

変化を繰り返すインフルエンザワクチンのどんな部分に対して抗体を作ればいいのかを、人の体に聴いてみようと言うものです。




万能ワクチンとしてはインフルエンザの中心部分であるM2をターゲットにする方法が日本の研究機関から報告されました。

このサイトにおいても以前の記事で紹介しましたね。

万能ワクチンは10年前にも報告されていますが


ほとんどの抗インフルエンザワクチンはインフルエンザの外側で細胞膜との融合に関係するHAの最表層を認識すること、そしてその構造がころころ変わることがインフルエンザが蔓延する原因の一つとなっていました。

そこで、もっと中の方の構造に限定して抗体を作るようにすれば外側が変わってもいいじゃないかというのが上の方法でした。


しかし今回は、外側のHAという部分の最外層ではなくて根っこの部分をターゲットにした抗体の話です。

HAといえども根っこの基幹部分は換えるわけにいかないので、多くのインフルエンザウイルスで共通の構造をとっています。

この部分でウイルスの機能発現に必要な部分に対して抗体ができれば、いろんなウイルスをブロックできるはずです。



あなたの身近に、インフルエンザに毎年ほとんどかからない人がいませんか?

こういう人はインフルエンザウイルスの共通部分に対する抗体ができていたりするのではないか、そう言うアイデアで人の抗体遺伝子のスクリーニングがなされました。

詳細はややこしいので省きますが、人間のリンパ球から遺伝子をとってきて、ファージというウイルスを使って抗体遺伝子をたんぱくとして発現させることで、たくさんの遺伝子についていっぺんに検査する方法が開発されています。

今回はそこからの発展です。


この中でCR2621という抗体が1918年のスペイン風邪H1N1も、最近恐怖の鳥インフルエンザのH5N1も、その他のさまざまなインフルエンザウイルスも、その感染と増殖を効果的にブロックできるというのです。

これが認識しているのがHAの基幹部分だったというわけです。


Science 10 April 2009:
Vol. 324. no. 5924, pp. 246 - 251

Antibody Recognition of a Highly Conserved Influenza Virus Epitope
Damian C. Ekiert,1 Gira Bhabha,1 Marc-André Elsliger,1 Robert H. E. Friesen,2 Mandy Jongeneelen,2 Mark Throsby,2 Jaap Goudsmit,2 Ian A. Wilson1,3*

Influenza virus presents an important and persistent threat to public health worldwide, and current vaccines provide immunity to viral isolates similar to the vaccine strain. High-affinity antibodies against a conserved epitope could provide immunity to the diverse influenza subtypes and protection against future pandemic viruses. Cocrystal structures were determined at 2.2 and 2.7 angstrom resolutions for broadly neutralizing human antibody CR6261 Fab in complexes with the major surface antigen (hemagglutinin, HA) from viruses responsible for the 1918 H1N1 influenza pandemic and a recent lethal case of H5N1 avian influenza. In contrast to other structurally characterized influenza antibodies, CR6261 recognizes a highly conserved helical region in the membrane-proximal stem of HA1 and HA2. The antibody neutralizes the virus by blocking conformational rearrangements associated with membrane fusion. The CR6261 epitope identified here should accelerate the design and implementation of improved vaccines that can elicit CR6261-like antibodies, as well as antibody-based therapies for the treatment of influenza.

1 Department of Molecular Biology, The Scripps Research Institute, 10550 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA.
2 Crucell Holland BV, Archimedesweg 4-6, 2301 CA Leiden, Netherlands.
3 The Skaggs Institute for Chemical Biology, The Scripps Research Institute, 10550 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA.


はたしてM2に対する抗体が良いのか、HAの基幹部分に対する抗体が良いのか、どっちでもいいのか、まだ結論は出ないと思いますが、どちらにしても遠からず、かなり高率の高いワクチンが開発される期待が高まってまいりました。

というのも、今回のこれは一個人の体に実際に存在した抗体ですし、その構造解析もきちんとなされていますから、手探りの域を過ぎて、かなり信頼性の高い研究に思えるからです。


まあ、これをやるの、ものすごくお金かかってますけど、画期的です。

今後に期待したいですね。

関連タグ : 万能ワクチン, インフルエンザ, スペイン風邪, CR2621, サイエンス,

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