完璧なインフルエンザワクチンがどうしてできないのか。

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万能インフルエンザワクチン開発のニュースが先日ありました。

万能インフルエンザウイルスとはウイルス内部の変異の起こりにくい部分に対してワクチンを作るものです。

通常はウイルス表面の分子に対して抗体を作る方が効果的なのですが、ウイルス内部の構造でも、ウイルスが感染した細胞の表面に出る部分を狙うことで効果が得られるのです。


少々冷めたコメントを書いてしまって申し訳なく思っておりますが、マスコミで報道される印象ほどに簡単な話ではないことはまちがいありません。

内部の構造は外に比べれば変異が起こりにくいようですが、それでも一定頻度で変異は起こるのです。

インフルエンザウイルスの変異率を調べた研究がありますが、それによると、人間などの細胞に感染したウイルスが増幅されて外に出て来た時に発生する変異率は、アミノ酸ベースで見て、50個の子供世代ウイルスに1個の頻度で発生すると計算されています。


具体的に病気の時にどういうことが起こるのかというと、


とんでもない効率で変異ウイルスが出現します。

インフルエンザウイルス1個が人間の気道上皮細胞1個に感染した場合、増幅されて出てくるウイルスの数は最大効率で100万個と計算されています。

ウイルス50個当たりに1か所のアミノ酸変異が起こりますから、1個のウイルスが感染しただけで、2万か所のアミノ酸変異が出現して、耐性を獲得したり、毒性を獲得したりする可能性があるというわけです。


もちろん、変異の中には毒性を失ったり、増殖できなくなるものもたくさん含まれますから、2万か所すべてがウイルスを進化させるというわけではありません。

また、人間の体のことですから、抗体がウイルスをたたきつぶしにかかるので、実際に抗体による攻撃をすり抜けて次の細胞に取りつくことができる子供ウイルスはごくごく一部だと考えられています。

なんだか魚の子供が卵から孵化してもごく一部しか生き残らない話と似ていますね。(笑)


だとしても、ウイルスの変異出現率で行くと、インフルエンザウイルスのそれは圧倒的と言ってよいようです。

そう考えると、内部構造では変異が起こりにくいとは言うものの、それが出現する可能性はゼロではあり得ませんから、万能インフルエンザワクチンという呼び方のワクチンが実用化できたとしても、数年おきには新しいものを作る必要性は残りそうです。



今回の記事は以下の文献を参考に書きました。

J Virol. 2006 Apr;80(7):3675-8.
Comparison of the mutation rates of human influenza A and B viruses.
Nobusawa E, Sato K.
Department of Microbiology and Infection, Nagoya City University Graduate School of Medical Science, Kawasumi 1, Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya City 467-8601, Japan. nobusawa@med.nagoya-cu.ac.jp

Human influenza A viruses evolve more rapidly than influenza B viruses. To clarify the cause of this difference, we have evaluated the mutation rate of the nonstructural gene as revealed by the genetic diversity observed during the growth of individual plaques in MDCK cells. Six plaques were studied, representing two strains each of type A and B viruses. A total of 813,663 nucleotides were sequenced, giving rates of 2.0 x 10(-6) and 0.6 x 10(-6) mutations per site per infectious cycle, which, when extended to 1 year, agree well with the published annual evolutionary rates.



関連タグ : インフルエンザワクチン, 複製, 変異率, 気道細胞, 増殖,

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