万能ワクチンは10年前にも報告されていますが?

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厚生労働省の研究班がインフルエンザウイルスに対する万能ワクチンを開発したという話が華々しく出ていました。

開発にかかわった研究者たちも嬉しく思っているかと思います。

ただ、これ、実用化に向けての詳細はどうなのでしょうか?


実はこの話が最初に出たのは私の記憶が正しければ1999年のことで・・・

調べてみました、1999年のNature Medicineというジャーナルでベルギーのゲント大学の研究室から発表されていました。

ターゲットとなるのはウイルスコアの部分のM2という領域で、抗インフルエンザ薬の一種のアマンタジンのターゲットになる部分です。


これはウイルス表面には出てこないのですが、ウイルスに感染した細胞表面には大量に出ます。

これをターゲットにしてB型肝炎ウイルスとフュージョンタンパクを作って免疫する、そういう方法でした。

基本的には鼻にスプレーする、あるいは経口投与するワクチンとして考えられています。


最近ではアメリカのウィスター研究所からも2003年にそういうワクチン開発に成功したというプレスリリースが出ていました。

その時には、やはりマウスの実験で、M2たんぱくを免疫原とすることで非常に高い抗体産生能力を持つこと、気道に投与されたインフルエンザウイルスの増殖を抑えるのに効果的であることが報告されていました。


どちらも華々しく報道されたのですが、その後、ベルギーやアメリカで臨床実験がどうなっているのかは寡聞にして話を聞いていないのですが・・・


厚生労働省研究班の万能ワクチンのニュースは以下の通りです。



インフルエンザウイルスのコアの部分に対する免疫


インフルエンザ、万能ワクチン開発…厚労省研究班

1月29日3時3分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090128-00000067-yom-sci

 いろいろなタイプのインフルエンザウイルスに効くワクチンを厚生労働省研究班が開発した。

 従来のワクチンと違い、ウイルスが変異しても効果が続くのが特徴で、動物実験で確かめた。実用化までには数年かかるとみられるが、新型インフルエンザの予防にも役立つと期待される。

 研究班は、国立感染症研究所、北海道大、埼玉医科大、化学メーカーの日油。

 通常のワクチンは、ウイルス表面をとげのように覆うたんぱく質をもとに作る。接種後、ウイルスが体内に侵入すると、抗体がとげを認識して増殖を阻止する。だが、インフルエンザは、とげの形が異なる複数のウイルスが流行することが多いうえに、頻繁にとげの形が変異するため、毎年のようにワクチンを作り直す必要があった。流行する型の予測がはずれると、ワクチン接種の効果が薄れた。

 研究班は、表面に比べて変異しにくいウイルス内部のたんぱく質を人工合成。それに特殊な脂質膜をくっつけてワクチンを作った。このワクチンを接種すると、免疫細胞が、ウイルスの感染した細胞を攻撃する。

 実験では、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高い高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1、Aソ連型、A香港型の3種共通の内部たんぱく質を調べ、ワクチンを作製。免疫に関与する人間の遺伝子を組み入れたマウスに接種した後、ウイルス3種をマウスに感染させても症状が表れず、増殖も抑えた。

 ただ、これまでにないタイプのワクチンなので、人間に使って重い副作用が出ないか、慎重に確認する必要がある。同じ仕組みのワクチンを英オックスフォード大も研究中という。

 研究代表者の内田哲也・感染研主任研究官は「人間に有効で安全な量を調べ、一刻も早く実用化につなげたい」と話している。


内田先生の研究内容などからするとリポソームを使ったやはり経鼻・口投与によるワクチン接種が目標なのでしょうか。

Wister研究所の文献を調べてみたところ、いくつかの関連研究がなされていました。


M2部分に対する抗体を、インフルエンザに感染した人であっても普通の人はあまり持っていないそうです。

ということはM2部分に対する抗体をワクチンによってたくさん作ってやれば、効果的にブロックできる可能性が高いようですね。

ほかにもいくつか、たとえばアメリカのFDAの研究室でも開発を続けていました。

Matrix protein 2 vaccination and protection against influenza viruses, including subtype H5N1.
Tompkins SM, Zhao ZS, Lo CY, Misplon JA, Liu T, Ye Z, Hogan RJ, Wu Z, Benton KA, Tumpey TM, Epstein SL.
Food and Drug Administration, Bethesda, Maryland, USA. tompkins@vet.uga.edu
Emerg Infect Dis. 2007 Mar;13(3):426-35.


アマンタジン耐性がM2たんぱくの変異によって獲得されたように、コアプロテインと言っても変貌は遂げつづけます。

したがって、ほんとうに未来永劫有効な万能ワクチンと呼べるものができるかどうかは疑問があります。

とはいうものの、今のワクチン開発と接種状況に比べればずっと回数が少なくて済むようになりそうです。


実用化の壁がどの辺にあるのか文献をさらっと眺めてもわかりませんでしたが(すみません^^;)、期待して今後を待ちたいですね。




関連タグ : M2, M2タンパク, アマンタジン, 万能ワクチン, FDA, インフルエンザワクチン, ウィスター研究所, ゲント大学,

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