日本の水際作戦がなぜ成功しなかったのか?
対応が連休後半からでは遅すぎたということもあるだろう、
だが、それ以外に大きな要因があった。
季節性インフルエンザでも、症状が軽い人は発熱もしないし、
ほとんど無症状の人もいるといわれている。
ところが新型インフルエンザでは1/3の人は発熱しないというのだ。
メキシコでの調査を終えたアメリカの感染症のエキスパートの報告
(ニューヨークタイムスの5月13日の記事から)
Many Swine Flu Cases Have No Fever
http://www.nytimes.com/2009/05/13/health/13fever.html?ref=research
By LAWRENCE K. ALTMAN
Published: May 12, 2009
メキシコでの病状視察から戻ったアメリカの感染症のエキスパートの報告によると、奇妙なことに、新型インフルエンザに関連した人の中には病状が明瞭であるにもかかわらず発熱が認められない患者が少なからず存在するという。
高熱はインフルエンザの典型的な兆候であり、しばしば40度に達する。ほとんどの感染症のエキスパートが高熱こそインフルエンザの主要な兆候の一つであると考えており、だからこそ体温計測をスクリーニングの方法に据えている。
しかしメキシコシティの二つの病院での調査に赴いたアメリカの感染症のエキスパートであるリチャード・ウェンツェルの報告では、新型インフルエンザ患者の1/3では、発熱は初発症状ではないという。
「これには私もメキシコのスタッフも驚きました。教科書的には咳と発熱でインフルエンザのアウトブレイクの90%は検出できることになっていますから。」とはウェンツェル博士の弁。 ちなみにウェンツェル博士はリッチモンドのVirginia Commonwealth University の内科部長でもある。
重症化するケースでは入院すればみんな高熱を発するようになるが、軽症例では半数が熱は上がらないという。もちろん、ほとんどのケースで咳と倦怠感や不快感は伴うのだが。と、やはりウェンツェル博士。
さらに、メキシコの病院に入院した患者の12%はひどい下痢で苦しんで、3日間にわたって一日平均6回はトイレに行くとのことである。もちろん、咳や呼吸困難などの呼吸器症状は伴っているとのことである。ウェンツェル博士は国際感染症学会の前の会長でもある。
ウェンツェル博士はメキシコの研究者たちに患者の便を調べるように勧告したという。「もしも. A(H1N1)ウイルスがヒトからヒトへ感染して、かつ、患者の便内で検出された場合、感染防止策はさらに困難さを増すだろう。特に発展途上国において。」
博士は無症状ンホ人もウイルスのキャリアとなっていないかどうかについて検討するようにメキシコの研究者たちに促したという。
後半は省略します。
(後半で彼が強調しているのは、メキシコの医療関係者たちは呼吸器感染症のパンデミック対策は十分に準備していた、でも、感染を防ぎきれなかったのだ、と言うことでした。)
このブログの記事でも繰り返し述べてきましたが、
新型インフルエンザ感染では消化器症状が目立つということ
これは新型インフルエンザの特徴の一つです。
さらに、季節性のインフルエンザなら高熱が当然でありながら、
それは過去のことから刷り込まれた先入観でしかなくて、
発熱を指標にすると新型インフルエンザ感染者の1/3は見つからない。
と言うことになりますから、
サーモセンサーなどを使ったところで、たとえ発症者であっても
水際対策で全員の侵入を阻止するのは不可能だった。
ということですね。
ストレートが来るつもりで厚生労働省は頑張りましたが、
実は新型インフルはナックルみたいな変化球なので、
打ち返すのはとても難しかったようです。
症状の軽い人が多いとなると、今後の感染爆発も避けようがないでしょう。
逆に言えば、でも、症状が重い人以外は心配しなくてよいわけですし、
躍起になって大勢を検査して隔離するよりも、
重症者のケアに重点的に予算を配分していただいた方が、
厚生労働省の株も上がるかと思います。
まあ、外野から言うのは気楽ですからね、すみません。
関係者の皆様の努力がより効率的になることを切に祈って、書かせていただきました。
対応が連休後半からでは遅すぎたということもあるだろう、
だが、それ以外に大きな要因があった。
季節性インフルエンザでも、症状が軽い人は発熱もしないし、
ほとんど無症状の人もいるといわれている。
ところが新型インフルエンザでは1/3の人は発熱しないというのだ。
メキシコでの調査を終えたアメリカの感染症のエキスパートの報告
(ニューヨークタイムスの5月13日の記事から)
Many Swine Flu Cases Have No Fever
http://www.nytimes.com/2009/05/13/health/13fever.html?ref=research
By LAWRENCE K. ALTMAN
Published: May 12, 2009
メキシコでの病状視察から戻ったアメリカの感染症のエキスパートの報告によると、奇妙なことに、新型インフルエンザに関連した人の中には病状が明瞭であるにもかかわらず発熱が認められない患者が少なからず存在するという。
高熱はインフルエンザの典型的な兆候であり、しばしば40度に達する。ほとんどの感染症のエキスパートが高熱こそインフルエンザの主要な兆候の一つであると考えており、だからこそ体温計測をスクリーニングの方法に据えている。
しかしメキシコシティの二つの病院での調査に赴いたアメリカの感染症のエキスパートであるリチャード・ウェンツェルの報告では、新型インフルエンザ患者の1/3では、発熱は初発症状ではないという。
「これには私もメキシコのスタッフも驚きました。教科書的には咳と発熱でインフルエンザのアウトブレイクの90%は検出できることになっていますから。」とはウェンツェル博士の弁。 ちなみにウェンツェル博士はリッチモンドのVirginia Commonwealth University の内科部長でもある。
重症化するケースでは入院すればみんな高熱を発するようになるが、軽症例では半数が熱は上がらないという。もちろん、ほとんどのケースで咳と倦怠感や不快感は伴うのだが。と、やはりウェンツェル博士。
さらに、メキシコの病院に入院した患者の12%はひどい下痢で苦しんで、3日間にわたって一日平均6回はトイレに行くとのことである。もちろん、咳や呼吸困難などの呼吸器症状は伴っているとのことである。ウェンツェル博士は国際感染症学会の前の会長でもある。
ウェンツェル博士はメキシコの研究者たちに患者の便を調べるように勧告したという。「もしも. A(H1N1)ウイルスがヒトからヒトへ感染して、かつ、患者の便内で検出された場合、感染防止策はさらに困難さを増すだろう。特に発展途上国において。」
博士は無症状ンホ人もウイルスのキャリアとなっていないかどうかについて検討するようにメキシコの研究者たちに促したという。
後半は省略します。
(後半で彼が強調しているのは、メキシコの医療関係者たちは呼吸器感染症のパンデミック対策は十分に準備していた、でも、感染を防ぎきれなかったのだ、と言うことでした。)
このブログの記事でも繰り返し述べてきましたが、
新型インフルエンザ感染では消化器症状が目立つということ
これは新型インフルエンザの特徴の一つです。
さらに、季節性のインフルエンザなら高熱が当然でありながら、
それは過去のことから刷り込まれた先入観でしかなくて、
発熱を指標にすると新型インフルエンザ感染者の1/3は見つからない。
と言うことになりますから、
サーモセンサーなどを使ったところで、たとえ発症者であっても
水際対策で全員の侵入を阻止するのは不可能だった。
ということですね。
ストレートが来るつもりで厚生労働省は頑張りましたが、
実は新型インフルはナックルみたいな変化球なので、
打ち返すのはとても難しかったようです。
症状の軽い人が多いとなると、今後の感染爆発も避けようがないでしょう。
逆に言えば、でも、症状が重い人以外は心配しなくてよいわけですし、
躍起になって大勢を検査して隔離するよりも、
重症者のケアに重点的に予算を配分していただいた方が、
厚生労働省の株も上がるかと思います。
まあ、外野から言うのは気楽ですからね、すみません。
関係者の皆様の努力がより効率的になることを切に祈って、書かせていただきました。