新型インフルエンザの疑問

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妊婦の新型インフルエンザウイルス感染は急性肺炎などの重症化を招きやすいことはよく知られています。

それで、以前は行政も医療も及び腰であった妊婦へのタミフルなどの抗インフルエンザ薬投与が今では積極的に行われています。

さて、妊婦さんが重症化しやすくて抗インフルエンザ薬を飲まなければならないことはコンセンサスが得られたとして、胎児の問題はどうなっているのでしょうか?


新型インフルエンザに感染した妊婦さんから胎児にインフルエンザが感染することはないのでしょうか?


これに対する結論は、まだ出ていません。

実際に妊娠中にインフルエンザに感染した人の血液、生まれた赤ちゃんの臍帯血、出産後の女性の血液、生後半年程度の赤ちゃんの血液、これらについて詳細に検討する必要があります。

実際に感染が伝染したかどうかの検討をある程度の人数について調査しないことには正確にはわかりません。


でも、一つ言えることは、これまでのところ、妊娠中にインフルエンザに感染したお母さんから生まれた赤ちゃんが生まれてすぐにインフルエンザの症状で悩まされると言うケースの報告は未だ見当たらないと言うことです。



では、季節型のインフルエンザはどうなのでしょうか?

経胎盤感染がないのかどうかの検討が実は最近になってなされています。

2000年のBJOG(産婦人科の学術誌)に載っている論文で、以下のものです。


Influenza virus infection in the second and third trimesters of pregnancy: a clinical and seroepidemiological study

BJOG: An International Journal of Obstetrics & Gynaecology

Volume 107, Issue 10, Pages 1282-1289

http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/119051525/main.html,ftx_abs#ss3


ここでは1600人以上の妊婦さんの血清検査から、182人の(11%)インフルエンザ感染者を発見し、出産前後でいろいろ検討しています。

結論から言うと、季節性インフルエンザの経胎盤感染は確認できなかったというものです。

インフルエンザ感染に伴って出現する自己抗体も胎児には移行していないと考えられました。


つまり、季節性インフルエンザの垂直感染はおそらくないだろうと考えられます。

フェレットなどの人のインフルエンザに感染する動物を使った実験では経胎盤感染が確認されているので、動物実験がそのまま人間にあてはめられない一つのケースであると考えていいでしょう。


では、新型インフルエンザH1N1は???

私の推測ですが、季節性インフルエンザとめちゃくちゃ遠い姿ではない今回の新型インフルエンザH1N1もおそらくそう考えてよさそうです。

胎盤感染があったとしても軽症で終わっているか、ごくまれなケースでしかなさそうに思えます。


しかし、鳥インフルエンザのH5N1では中国での死亡後の解剖で妊婦の子宮の中の胎児の臓器でもその増殖が認められたことが報告されています。

新型インフルエンザの感染臓器に関する、症例数を集めた詳細な検討や、感染拡大経路に関する前向きの研究はまだ報告されてないこと(報告しようがありませんが^^;)などから、新型インフルエンザも絶対に季節性インフルエンザと同等に安全かと言われればわからない。

残念ながらそういう段階でしかありません。


これからの症例報告を待ちたいと思います。
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関連タグ : 新型インフルエンザ, 母子感染, 経胎盤感染, 季節性インフルエンザ, 鳥インフルエンザ,

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