新薬やワクチンの開発に向けて

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読者の方から新型インフルエンザに関しての質問をいただきました。


鍵コメントで質問をいただきましたので、記事の形で回答を共有させていただきます。

こういう形で質問をいただけますと、何がわからないのか、こちらもよくわかりますので助かります。

即答はできませんが、このような形で、今後も時間があるときに回答させていただきます。


質問1. 現時点では毒性を獲得していないようなので、今の時点でインフルエンザに感染してしまえば毒性が強まった時には感染しないのでしょうか?

 (回答) 似た質問ワクチンに関して以前にもいただき、そちらでも回答しましたが、これはどちらとも言えません。

 今の時点でこのインフルエンザに感染してしまえば、同じ遺伝子配列のウイルス、あるいはよく似たウイルスに感染しても、その二回目以降に感染したウイルスの増殖はあなたの免疫系に効率よく抑え込まれますので、症状はひどくならない可能性が高いと思われます。

 この可能性はある程度高いと思われます。


 ただし、強い毒性を獲得するような変異がウイルスに起こったときに、それがワクチンによって免疫系が覚えていたウイルスの形とは全く異なる形に変貌するような変異であった場合には残念ながら期待できません。

 どの場所のどんな変異で強毒性になるかについては、過去のインフルエンザウイルスの解析からいくつかの予測は立てられていますが、どうなるかは実際、ウイルス次第ですから、運任せです。 

 去年季節性のインフルエンザのH3N2にかかったのに、今年もまたH3N2にかかっちゃったよ、と言う人はたくさんいますよね、そのことから言っても運が悪ければまたかかります。
 これはワクチン打っても同じことです。


質問2. 今回のH1N1に感染していればH5N1の流行の際には感染しない、又は感染しても症状が軽くなることが期待できますか?(免疫を持つことができますか?)Nが同じ型なのでこのように思うのですがどうなのでしょうか。

 (回答) これはほとんど期待できません。

 ほとんどの場合、ヒトの免疫系が認識するのはHに当たるヘマグルチニンと言う糖鎖部分で、これがほんの僅かに変わっただけでも新しいインフルエンザは免疫系をすりぬけてしまいます。

 上にも書きましたが、毎年毎年、H3N2とH1N1がちょっとずつ変異して数千万人への感染を繰り返していることからもそれはお分かりかと思います。

 ということで、免疫系が覚えて対処すると言うシステムの上では、H1N1H5N1の間には共通項はほとんどない、どちらにかかっても別な方への免疫はほとんどつかないと思ってくださって結構です。


質問3. 今回のインフルエンザでは90歳以上の方に免疫があるとされていますが、それはスペイン風邪と"N"の型が同じだからですか?

 (回答) おそらく違います。おそらくH1の表面の形が、スペイン風邪のそれと、今回の新型インフルエンザのそれとで似通っている形だからなのだと思われます。


回答は以上です。


参考までに記載しておきます。


以前にも書きましたが、哺乳類の免疫系が認識するインフルエンザウイルスの形は主にHで表わされるヘマグルチニンの表面の形です。

ヘマグルチニンはアーモンドの砕かれた粉が表面にいっぱい付いたポッキーみたいなものだと思ってください。

このアーモンドの凸凹を免疫系は正確に認識して覚えるのですが、アーモンドの砕け方や、チョコとのくっつき方で表面の形は簡単に変わってしまいますから、たまたまよく似た形のアーモンドのかけらがよく似た付き方でついていない限り、ウイルスを見逃してしまいます。


ただし、人の中にはアーモンドポッキーのチョコの部分やビスケットの部分に対する抗体を持つ人もいて、そういう人の持つその抗体はどんなウイルス感染に対しても効果的です。

これが認識する構造を見つけ出して、ワクチンに、あるいは抗体そのものを薬にしてしまう方法がいくつかの研究室で模索されています。

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関連タグ : H1N1, H5N1, ヘマグルチニン, 感染, 質問,

現在の新型ウイルスが変異によって毒性を獲得した場合、

現在の新型ウイルスで作製したワクチンが有効なのかとの質問いただきましたが、

それは運次第としか答えようがありません。(^_^;)



インフルエンザウイルスの毒性が何によって決まるかと言うと、

代表的な部分で推測されているのはH1N1のHにあたるHA、

ヘマグルチニンのタンパク分解酵素活性の強さや性質などです。

これはウイルスの一番外側のとげとげの部分です。


スペイン風邪の場合はここが変化して強毒性を獲得したと考えられています。



ウイルスに対する抗体、つまりワクチンでできるIgGも、

主にこのヘマグルチニンの構造に対して作られるものが主であると考えられています。

それはこの構造が抗原性が高い(抗体ができやすい)からです。


ということは、

現在の弱毒型のインフルエンザウイルスを用いて作製したワクチンによって、

人間の体が抗体を作りやすいようなウイルスのHAの構造が、

(それを狙ってその部分を提供するわけですが)

毒性を獲得したワクチンにおいて運悪く変化してしまった場合には

ワクチンの有効性はまったく期待できないことになります。


しかし、弱毒型ウイルスで作成したワクチンで認識できる部位が

強毒型に変化したことでは影響を受けなかった構造であった場合には

十分有効なワクチンであり続けるわけです。



ま、ややこしいのであっさり言うと

強毒型に変異しても効くものができるかもしれないし、無効かもしれない。

それはウイルスが変異してみないとわかりようがないので、運次第で決まります。



また、インフルエンザウイルスの毒性に関してはHAの構造以外にも

ノイラミニダーゼの活性や、RNAポリメラーゼの活性によっても

影響を受ける報告がなされており、強毒性の変化がそれらの変異で決まれば、

HAに対して抗体が作製されることの多いワクチンは有効と言うことになります。

これは運良く、と言うパターンですね。






以前の記事で書きましたが、HAの構造のうち、

たくさんのインフルエンザウイルスに共通の構造に対する抗体、

これができれば万能ワクチンが理論上完成します。


これはなかなかできにくいから毎年大勢がインフルエンザに感染するのですが、

この抗体を作っている人は確実にいるわけで、

将来的にはこの部分に対して抗体ができるようなワクチンを開発していくことで

万能型のワクチンが開発できるだろうと考えられています。



参考文献

Proteolytic activation of the 1918 influenza virus hemagglutinin.

Chaipan C, Kobasa D, Bertram S, Glowacka I, Steffen I, Tsegaye TS, Takeda M, Bugge TH, Kim S, Park Y, Marzi A, Pöhlmann S.

Nikolaus Fiebiger Center for Molecular Medicine, University Hospital Erlangen, 91054 Erlangen, Germany.

J Virol. 2009 Apr;83(7):3200-11. Epub 2009 Jan 21.

Proteolytic activation of the hemagglutinin (HA) protein is indispensable for influenza virus infectivity, and the tissue expression of the responsible cellular proteases impacts viral tropism and pathogenicity. The HA protein critically contributes to the exceptionally high pathogenicity of the 1918 influenza virus, but the mechanisms underlying cleavage activation of the 1918 HA have not been characterized.



関連タグ : 弱毒型ウイルス, 変異, 強毒型ウイルス, ワクチン, 有効性,

豚インフルエンザのゲノム情報が続々と公開されています。


以下はNCBIのサイトのGenBankのリンクです。もちろん英語ね。

Swine Flu 2009 Outbreak

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/SwineFlu.html

こちらのアミノ酸配列を見て、季節性のヒトH1N1や豚H1N1との違いについて

専門家の検討がなされれば、毒性がどんなものかの見当がつきます。


これで今回の豚インフルが強毒性なのか弱毒性なのか、

何種類ぐらいに分かれていると見るかわかるはずです。

[豚インフルエンザのゲノム情報を知ることから戦略を立てる]の続きを読む

関連タグ : 豚インフルエンザ, ゲノム情報, キングボンビー, ミニボンビー,


豚インフルエンザワクチン対策で、どうするかで悩んでいるみたいだ。


舛添要一厚生労働大臣は迅速な対応をする発言をしたと思うよ。

「季節性インフルエンザ用の製造を一時停止しても、
 豚インフルエンザワクチンを優先する」

これは国民に安心感を与える。



しかし同時に、毎年普通に流行するインフルエンザ感染で

高齢者中心に1万人が亡くなっているのも事実。

季節性インフルエンザワクチン製造の完全停止により

もたらされるリスクは大きい。

[豚インフルワクチンと季節性ワクチンとの生産振り分けは簡単なこと]の続きを読む

関連タグ : 豚インフルワクチン, 生産能力, 振り分け, 25歳から45歳, サイトカインストーム,

インフルエンザワクチン開発に関するワクワクするニュースです。

アメリカの科学雑誌サイエンス(Science)の2009年4月10日の分に掲載された論文ですが、インフルエンザ万能ワクチンを樹立できそうであるという報告です。

変化を繰り返すインフルエンザワクチンのどんな部分に対して抗体を作ればいいのかを、人の体に聴いてみようと言うものです。



[人の抗体遺伝子解析からインフルエンザ万能ワクチンを樹立]の続きを読む

関連タグ : 万能ワクチン, インフルエンザ, スペイン風邪, CR2621, サイエンス,

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