新型インフルエンザH1N1は「季節型程度の弱毒型」ではない

ここでは、「新型インフルエンザH1N1は「季節型程度の弱毒型」ではない」 に関する記事を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


新型インフルエンザ感染による死亡例を含む重症例について

具体的な経過などが厚生労働省から発表されました。

症例数は多くありませんが、感染初期には簡易検査で陰性の結果が出るなど、大変興味深い話です。


新型インフルの重症例、厚労省がHPで公表

9月21日22時20分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090921-00000709-yom-soci

 厚生労働省研究班(分担研究者=川名明彦・防衛医大教授)は、国内で確認された新型インフルエンザによる重症患者の代表的な症例をまとめ、厚労省のホームページに公表した。

 診療にあたる医師が情報を共有するために作成した。とり上げた6例中4例は、感染を調べる簡易検査で陰性の結果が出るなど、初期診断の難しさが示された。6例は4~60歳代の男女で、詳しい経過や治療方法を紹介している。主な症状は気管支ぜんそくの重症発作、急性脳症(2例)、肺炎(3例)。


これは医療機関にとっては大変ありがたいことです。

これらの臨床経過を念頭に重症化する可能性のある症例に対応できます。

新型インフルエンザ感染による劇症症例が最悪の事態に落ちることを避けるために大変重要なポイントです。



いくつかのブログなどで新型H1N1は季節型とたいして変わらないと紹介されていますし、感染者数に比べると死亡者数も非常に少ないのですが、決して甘くみられるべきウイルスではないようです。

ここでも書きましたが、南米での新型インフルエンザ感染確定例での死亡率は1%前後あります。

20世紀のパンデミックでは1918年のスペイン風邪が2%、1957年のアジア風邪が0.5%でしたが、それは今よりもずっと医療事情が悪かった時代の話です。


アルゼンチンの都市部の医療環境や、最先端の病院の医療技術は日本となんら変わらないはずです、それなのにどうして南米では死亡率がこんなに高くなるのでしょうか?

南米の現代の医療事情、よくは知りませんが、どうやら貧困層の医療受診事情がこの死亡率の高さを生み出すようです。

受診したときにはもうタミフルやリレンザの効かない状態で、しかも肺炎が悪化してしまっている状態にある人が多いというのが死亡率の高い国のその理由のようです。


南米の中でもチリでは死亡率が低く、この国では抗インフルエンザ薬による治療が早期から行われているようです。

保健医療で抗インフルエンザ薬投与ができるかどうかが、そのままその国のインフルエンザ感染による致死率に反映されるようですね。

保健医療を受けられる人の比率、日本はずば抜けて高い国ですから、アルゼンチンやメキシコと同じには考えなくていいと思います。

日本で医療を受けることができれば結果的には季節性インフルエンザと変わらない死亡率になると思います。


だとしても、対応が遅れると怖い病気であることは忘れないようにしましょう。

体力のある人は寝ていれば治る病気のように見えていますが、実際そういう人が多いのですが、元気な小学校高学年の児童でも、20代の大人でも、急速に呼吸器症状が重篤化するときはあります。

けっして季節性インフルエンザと同程度の怖さではありません。

身近に患者が出たなど、インフルエンザ感染が疑われる状況の発熱や呼吸器症状であれば、発症後2日以内の医療機関の受診をお勧めします。



これに関して、感染症学会のホームページから以下のような記載を見つけたので転載します。
(と言うか、記事の参考にさせていただきました。)

臨床の現場の友人から聞く話と完全に一致する内容ではありませんが、大いに参考になる話です。


(2)新型インフルエンザS-OIVは「弱毒」ではありません

 2009年5~6月の関西地区の流行後、夏にかけて一時的に発生数が一段落したこともあってわが国ではS-OIVを楽観視するような論調も見られました。すなわち、S-OIVは「弱毒」性であって通常の季節性インフルエンザと変わらないので厳重な対応策は緩めてもよい、という意見です。しかし、 S-OIV H1N1が「弱毒株」というのはウイルス学的にも誤りです。「弱毒」や「強毒」というのは鳥インフルエンザに関してのウイルス学の用語です。鳥のインフルエンザの赤血球凝集素(hemagglutinin:HA)には、抗原亜型がH1からH16まであり、そのうち、H5とH7亜型の一部のウイルスで、遺伝子内部に特徴的な配列を持つものが「強毒株」であって、それらに感染したニワトリはほとんどが死亡します。一方、その他は「弱毒株」です。しかし、ヒトのインフルエンザウイルスにはH1からH3までの3亜型が知られているだけで、ウイルス学的に「強毒株」とか「弱毒株」という区別はありません。わが国のマスメディアでは、臨床的にvirulenceが弱い、臨床的に軽いという意味で「弱毒」と言う言葉を使っているようですが、その使い方自体が誤りであるだけでなく、S-OIVの重症度は以下に示すように少なくともmoderate(中等度)であり、季節性と同じようなmild(軽度)なものではありません。近い過去に人類が経験した(当時の)新型インフルエンザであるいわゆるアジアかぜや香港かぜの出現当時と同じようなレベルの重症度であると考えなければなりません。
 本年8月以降、わが国でも各種の基礎疾患を有する感染例に死亡が見られ始め、若年層にも被害が出始めていますが、従来の季節性インフルエンザは高齢者を中心にして0.1%前後の致死率であるのに対し、今回のS-OIVは本来健康な若年者が中心でありながらWHOの発表5)では未だに1%近い致死率を示しています。メキシコや米国、最近では南米などの被害が大きく、1%をはるかに超える致死率が報告されている国もあります。このことからも、S-OIVは決して軽症とは言えません。しかも、前回の緊急提言でも述べたように本年の秋以降には大規模な発生が起こり、1~2年で全国民の50%以上が感染することも予想されているのです。「弱毒」と侮ることなく、万全の対処を準備しなければなりません。

http://www.kansensho.or.jp/news/090914soiv_teigen2.html#n02


これから秋に入り、冬を迎えます。

冬場のインフルエンザ感染の怖さは、ウイルスで荒れてしまった気道上皮で発生する二次感染による肺炎や気管支炎です。

そういう季節に向けて、早め早めの対策は大事だと考えます。

パニックになったり恐怖におびえる必要はありませんが、なめてかからないようにお願いします。



関連タグ : 死亡率, 重症化, 新型インフルエンザ, アルゼンチン, 季節型, 新型H1N1,

コメント
この記事へのコメント
薬剤耐性の記事ではお世話になりました。

>元気な小学校高学年の児童でも、20代の大人でも、急速に呼吸器症状が重篤化するときはあります。
>けっして季節性インフルエンザと同程度の怖さではありません。

私はこの部分にひっかかりを感じています。
今まで季節性インフルエンザでは健康な人や若者は一切死ななかったのでしょうか?

私の健康な友人は肺炎を起こして入院した経験があるので、インフルエンザそのものがある程度のリスクのある病気なのだと考えています。

また、新型が出る時には若年層の患者が増えるので症例が偏っている可能性も考えられませんか?

私は今回のインフルエンザの致死率はこれまでの感染者累計数から 0.004% 程度と計算しています。
スペイン風邪の致死率は当時の欧米諸国では 1% 以下で、アジア風邪の致死率も日本では 0.2% 以下だと思います。
2009/09/23(水) 03:13 | URL | bloom #UgGbR6cM[ 編集]
私の息子は喘息の持病があり、新型インフルに感染したら重症化するのではないかと日々ビクビクしながら生活しているのですが、周囲の人は全くその危機感がないようです。咳をしていてもマスクをしている人はいません。両親は私に「気にしすぎだ。周囲はマスクをしている人なんていない。」と新型インフルなんて怖くないとまるで人事のようなことを言っています。5月頃はあれだけ騒いでいたテレビでも殆ど新型インフルの情報を見ることもなくなってしまいました。やはり私が神経質すぎるのでしょうか。一体どこまで注意すべきなのか、気をつけていいのか日々悩みます。
2009/09/26(土) 02:33 | URL | kkママ #JalddpaA[ 編集]
インフルエンザについて調べている妊婦であり、2歳の子供を持つものです。
今回、今までのインフルエンザの予防接種と新型の予防接種を2回打つか迷っています。
以前のブログも読ませていただき打ったほうがいいと思いましたが、副作用のギラン・バレー症候群が気になったりします。新聞記事にも慎重にと書いていたりして迷っています。
子供は計4回も打たないといけないと思うと心配です。

大丈夫なのでしょうか?

昨年はお互いインフルエンザの予防接種を受けましたが副作用などはありませんでした。

打たずにかかってタミフルを飲んだほうが安全なのでしょうか?

色々質問してすいません。
2009/10/13(火) 20:51 | URL | みき #e2xIBKiE[ 編集]
ここに書いて良いか迷いましたが、
もともとギランバレー症候群やCIDPにかかっている人は予防接種など、どのようにすれば良いのでしょうか?
2009/10/27(火) 21:49 | URL | イージマ #-[ 編集]
> ここに書いて良いか迷いましたが、
> もともとギランバレー症候群やCIDPにかかっている人は予防接種など、どのようにすれば良いのでしょうか?

予防接種、そうですね・・・。理屈から行けばしない方がいいということになります。
その筋の専門家の教授にちょっと確認してみますね。しばらくお待ちください。
2009/11/08(日) 00:32 | URL | H5N1 #-[ 編集]
> 薬剤耐性の記事ではお世話になりました。
>
> >元気な小学校高学年の児童でも、20代の大人でも、急速に呼吸器症状が重篤化するときはあります。
> >けっして季節性インフルエンザと同程度の怖さではありません。
>
> 私はこの部分にひっかかりを感じています。
> 今まで季節性インフルエンザでは健康な人や若者は一切死ななかったのでしょうか?
>
> 私の健康な友人は肺炎を起こして入院した経験があるので、インフルエンザそのものがある程度のリスクのある病気なのだと考えています。
>
> また、新型が出る時には若年層の患者が増えるので症例が偏っている可能性も考えられませんか?
>
> 私は今回のインフルエンザの致死率はこれまでの感染者累計数から 0.004% 程度と計算しています。
> スペイン風邪の致死率は当時の欧米諸国では 1% 以下で、アジア風邪の致死率も日本では 0.2% 以下だと思います。

ずいぶん遅い反応ですみません。放置してしまっていたものですから(^_^;)。

そうですね、実質的な感染者数を報告されているものの11倍だとざっくり考えれば実質的な死亡率は報道されているよりもずっと低いのでしょうね。

今回の新型インフルエンザの重症度や致死率については、国によってもずいぶんと異なる統計の取られ方をされているようですね。

感染症学会の考え方が大げさすぎるという意見も確かにそうだと感じる部分もあります。

でも同時に季節性のそれとはちょっとタイプが異なるのも間違いないとは思うのですが。

科研費申請やリバイスの嵐ででほんとに最近放置だったので調べてまた記事にしてみたいと思います。


2009/11/08(日) 00:41 | URL | H5N1 #-[ 編集]
> インフルエンザについて調べている妊婦であり、2歳の子供を持つものです。
> 今回、今までのインフルエンザの予防接種と新型の予防接種を2回打つか迷っています。
> 以前のブログも読ませていただき打ったほうがいいと思いましたが、副作用のギラン・バレー症候群が気になったりします。新聞記事にも慎重にと書いていたりして迷っています。
> 子供は計4回も打たないといけないと思うと心配です。
>
> 大丈夫なのでしょうか?
>
> 昨年はお互いインフルエンザの予防接種を受けましたが副作用などはありませんでした。
>
> 打たずにかかってタミフルを飲んだほうが安全なのでしょうか?
>
> 色々質問してすいません。

確率論の危険度から行けば、ワクチンを打たないで感染するよりもワクチンを打った方が安心です。また、ワクチンを打ってギランバレー症候群を発症する人はインフルエンザに感染しても発症する可能性が高いのではないか(私見です)と思われますので、接種した方がいいと私は思います。

私の身内に妊婦さんがいれば、ワクチン接種を勧めます。

また、感染してから抗インフルエンザ薬での治療でよいではないか、という意見ですが、理論上はそうです。ただ、インフルエンザに感染してもその判定が必ずしも適切に行えるわけではありません。気にし始めると、念のためにタミフルを飲んでおこう、と言うのを何度も繰り返すことになる可能性も高いと思います。

そう考えると、ワクチンを打っておいた方が気楽ではないかと考えます。
2009/11/08(日) 00:50 | URL | H5N1 #-[ 編集]
> 私の息子は喘息の持病があり、新型インフルに感染したら重症化するのではないかと日々ビクビクしながら生活しているのですが、周囲の人は全くその危機感がないようです。咳をしていてもマスクをしている人はいません。両親は私に「気にしすぎだ。周囲はマスクをしている人なんていない。」と新型インフルなんて怖くないとまるで人事のようなことを言っています。5月頃はあれだけ騒いでいたテレビでも殆ど新型インフルの情報を見ることもなくなってしまいました。やはり私が神経質すぎるのでしょうか。一体どこまで注意すべきなのか、気をつけていいのか日々悩みます。

喘息=重症化というわけではありませんから、心配しすぎる必要はないと思います。
でも、人がなんと言おうと、マスクをする、手洗いをするという程度の日常生活の中でできる感染予防は、リスクを持つ方々とその周囲の人々はできるだけするべきだと思います。
マスクは人混みではできるだけさせてください。
手洗いと人混みでのマスク、そして十分な睡眠と喘息のコントロール、これは喘息患者さんとその家族の守るべき行動だと私は思います。

それ以上の予防については、あなたのお子さんがどの程度の喘息なのかはわかりませんが、主治医に確認の上で勧められてはいかがでしょうか?

(ずいぶん遅い返事ですみません)
2009/11/08(日) 00:58 | URL | H5N1 #-[ 編集]
周囲がどうであれ、家族を守る為に、やはりきちんとした予防をこれからもしていきたいと思います。
2009/11/11(水) 12:37 | URL | kkママ #JalddpaA[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://h5n1flu.blog56.fc2.com/tb.php/81-4a6a9e48
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
管理人の承認後に表示されます
2012/11/21(水) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。